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7. 契約内容が不明確でトラブルになった事例

Last-modified: 2012-09-24 (月) 16:29:15 (2464d)
Top / 7. 契約内容が不明確でトラブルになった事例

B.作業に不適合な契約形態 トラブル原因分類 FrontPage


 

事例概要

  • 本訴原告:製造業(ユーザ)
  • 本訴被告:システム開発会社(ベンダ)
  • 請求内容
    3815万円の損害賠償請求
  • 経緯
    ユーザがベンダとの間において、コンピュータソフトウェアの開発及び当該ソフトウェアを稼働させるためのハードウェア一式の供給契約を締結したが、ベンダによる開発作業に度重なる遅滞が生じたため、ユーザは契約を解除し、残代金の支払いを拒絶すると共に、ハードウェアの購入代金等支払済代金の返還を求めた事例。契約にあたって、契約書は作成されなかった。

争点

ユーザ・ベンダ間の契約は、統合システムのソフトウェア開発を目的とする1個の契約か、統合システムを稼働させるためのハードウェア、ソフトウェアの販売と、ソフトウェアのカスタマイズとの複合契約か。なお、対価の支払い条件について別途協議とされていたことからその支払時期についても争われた。

  • ユーザの主張
    ユーザ・ベンダ間の契約は、統合システムのソフトウェア開発を目的とする1個の契約であり、ソフトウェアが完成しなかった以上、代金の支払義務はないからハードウェアの購入代金等支払済み代金の返還を求める。
  • ベンダの主張
    ユーザ・ベンダ間の契約は、ハードウェア、ソフトウェアの販売と、ソフトウェアのカスタマイズとの複合契約である。 対価の支払時期について別途協議とされているが、協議が成立していない以上、その支払時期はソフトウェアの引き渡し時期と考えるべきであり、ソフトウェアの引き渡しを受けた以上、ユーザはベンダにソフトウェア販売代金の支払い義務を負っており、ベンダは受領済み代金を返還する必要はない。

判決

  • 請求(一部)認容。契約の性質についてユーザの主張を認め、契約解除に基づく支払済み代金の返還請求が認められた。

反省点

  • 契約内容を明確にするために契約書を締結すべきである
    ソフトウェアの販売(ライセンス)と、カスタマイズ(開発)とがいかなる関係になるのかを契約書で明確にしておくべきであった。
  • 対価の支払い条件は、別途協議ではなく契約書で取り決めておくべきである
    本件では対価の支払い条件について別途協議と定められているに過ぎなかったが、別途協議と定めるだけではなく、対価の支払条件、支払期限について、後日紛争が生じるのを避けるべく、契約書により明確に取り決めておくべきであった。

モデル契約書活用のポイント

  • モデル契約書<追補版>では、パッケージソフトウェアの許諾契約と当該ソフトウェアのカスタマイズ(開発)契約とは別契約で締結することとなっているが、カスタマイズ作業が完成しなかった場合におけるライセンス費用の取り扱いなど、ソフトウェアの許諾契約と開発契約との関係についても重要事項説明書において明確に取り決めておくことでこのような紛争を避けることができる。
  • モデル契約書<追補版>では、対価の支払条件、支払期限について、各フェーズにおける重要事項説明書において定めることとしている。したがって、モデル契約書を活用することにより、支払条件に関する紛争を解決することができる。 本件のような事例の中には、選定したパッケージソフトウェアではそもそもユーザの要求を実現するのに不適合であったという、いわゆるパッケージソフトウェアの選定ミスのケースもある。モデル契約書<追補版>では、パッケージソフトウェアの選定の最終的な判断はユーザが行うこととしているが、AないしCのパッケージソフトウェア(候補)選定支援業務を受託する場合、ユーザが選定するにあたって、ベンダが重要事項説明書に定めるところにより、情報処理技術に関する業界の一般的な専門知識及びノウハウに基づき、善良な管理者の注意をもって選定を支援することが想定されている。この場合、ベンダに善管注意義務違反があれば、ベンダは選定ミスにつき一定の責任を負うこととなる。