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6.+契約形態が請負か準委任かで、問題となった事例

Last-modified: 2014-03-04 (火) 17:44:36 (2024d)
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事例概要

  • 原告:ユーザ
  • 被告:システム開発会社(ベンダ)
  • 請求内容 9億3452万円の損害賠償請求
  • 経緯
    ユーザは、基幹系システムを再構築するため、その開発をベンダに依頼した。要件定義、プロトタイプ・システムの開発作業、アドオン・ソフトの開発作業については予定通りに進行したが、総合テストの段階でシステムに複数のバグがみつかったため、度重なる稼働延期が生じた。加えて、当該段階において、調達したハードでは性能が足りず、処理能力が実用に達しないこと(サーバ・サイジングの誤り)も判明した。 稼働延期の原因や、サーバ・サイジングの責任の所在について両当事者間で認識が一致せず、ユーザにおいて、このままでは契約目的を達することはできないとの判断に至ったことから、これにより生じた損害を求めて提訴することとなった。

争点

①稼働延期の原因はどちらにあったか。②サーバ・サイジングの誤りはどちらの責任か。

  • ユーザの主張
    稼働延期はベンダが開発したシステムのバグが原因であり、また、サーバの選定はベンダの役務内容に含まれているのであるから、稼働延期や、サーバ・サイジングの誤りはベンダに責任がある。
  • ベンダの主張
    システムのいくつかにバグがみつかったのは事実だが、既にベンダ負担で修正済であり、稼働延期はユーザの仕様変更が原因であり、また、サーバ・サイジングについてのベンダの義務は、サーバ・サイジング用のデータを提供することにあり、ハードの仕様を決定するのはユーザ側の責任であるからベンダに責任はない。  

反省点

  • 要件定義段階において仕様を明確にしておくべきである
    要件定義段階において、ユーザの当初の要求のうちシステムにおいて実現する仕様を明確にすることで契約内容を明確にしておくとともに、仕様変更が生じた場合には、都度契約内容の見直しを行うなど、変更を行ったことが明確になるようにすべきであった。
  • サーバ・サイジングに関する責任の所在を明確にしておくべきである
    サーバ・サイジングをするにあたっては、ユーザ・ベンダ両当事者の役割及び責任の所在を契約書により明確に取り決めておくべきであった。

モデル契約書活用のポイント

  • ハードウェアの選定についての責任問題が発生することを避けるために、モデル契約書<追補版>を活用し、モデル契約書<追補版>における「A要件定義支援及びパッケージソフトウェア候補選定支援業務契約(カスタマイズモデル)」、「Bパッケージソフトウェア選定支援及び要件定義支援業務委託契約(カスタマイズモデル)」、「D外部設計支援業務契約」、「Eソフトウェア設計・制作業務契約」、「F構築・設定業務契約」の締結にあたっては、ハードウェアの能力不足によって要件を実現できなかった場合の責任の所在を重要事項説明書の特約条項等で明確にしておく必要がある。
  • また、ハードウェアの選定にベンダが関与している場合には、ベンダの関与がいかなる責任を伴うものであるかを明確にしておくべきである。
  • 当初仕様から仕様変更になった場合には、適宜変更内容が明らかとなるよう重要事項説明書を修正することで、実態に則した契約内容を実現することができ、紛争解決に資することとなる。すなわち、モデル契約書<追補版>第2条においては、重要事項説明書に定められた契約内容の確定及び変更のいずれにおいてもユーザ及びベンダの記名押印による書面の合意を必要とし、これ以外の方法による変更合意を認めないこととしている。
  • なお、モデル契約書<第一版>においては、機器等の調達取引を別契約とすることを推奨しつつ、その解説(51頁)において、「非機能要件が曖昧な時点での本番用機器の早期調達は望ましくない。機器構成等を含めたインフラ設計・運用設計などを行い、完成時の保守・運用体制等の全体像が把握できてから、調達を行うことが望ましい」としており、機器サイジングの決定時期に深慮を求めていることに留意したい。