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23. リース契約でトラブルになった事例

Last-modified: 2012-09-24 (月) 16:44:56 (2550d)
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J.リース契約 トラブル原因分類 FrontPage


 

事例概要

  • 原告:一般廃棄物処理等を業務とする会社(ユーザ)
  • 被告:システム開発会社(ベンダ)
  • 請求内容
    損害賠償請求(訴額 4846万5172円)
  • 経緯
    ユーザはベンダに対し、基幹業務ソフトの開発を委託した。ソフトはベンダが開発した後、ベンダの関連会社であるリース会社Aに売却され、Aからユーザに対してリース物件として引渡される予定であったところ、ソフト製作請負契約の契約書は作成されず、ベンダ・A間でリース契約書が作成されたのみであった。納品されたソフトに欠陥があったため、ユーザはベンダに対し、請負契約の債務不履行を理由に損害賠償を請求。

争点

ユーザとベンダとの間で、請負契約が成立しているか。

  • ユーザの主張
    リースは単なる支払の手段にすぎず、実質的には、ユーザとベンダとの間でソフト開発の請負契約が成立していた。
  • ベンダの主張
    ユーザはリース会社とだけ契約しており、ユーザとベンダの間では、報酬や代金の支払約束がないから、請負契約は成立していない。

判決

原告の請求一部認容(損害賠償409万5420円)。
ユーザとベンダの間での、仕様書、提案書、基本設計書のやりとり及びその打ち合わせ議事録の内容から、ユーザとベンダは、本件ソフトの製作について、数回の交渉を経て、その内容を確定し、それに従って請負契約を締結したというべき。リース契約は、金融を得る手段に過ぎない。そして、ベンダが作成したソフトには不具合があり、債務不履行が認められる。  

反省点

  • リース契約を利用する場合であっても、ユーザとベンダの間で、ソフト開発委託契約書を作成しておくべきである
    本件は、ユーザの支払手段としてリースが利用されたため、ユーザとリース会社の間にはリース契約があるものの、ユーザとベンダの間では契約書が作成されなかった。ユーザがベンダに対して、契約上の責任を追及するためには、ユーザとベンダの間に、何らかの契約関係がなければならないが、本件では、この契約関係についての契約書がなかったため、契約関係の有無自体が争われることとなったのである。
    このような紛争を避けるため、リース契約を使う場合であっても、ユーザとベンダとの間で、ソフト開発委託契約書などを作成しておくべきだった。

モデル契約書活用のポイント

  • リース契約を利用する場合であっても、ユーザとベンダは、開発するソフトウェアが具備すべき機能要件等、仕様を確定するための手順、プロジェクト推進方法、ソフトウェアの完成時期、瑕疵その他の不具合が生じた場合の対応等について、十分に協議したうえ契約書を作成する必要がある。モデル契約書は、リース契約の存在を前提としていないため、納入、検収、納入物の所有権及び委託料の支払いに関する事項を調整する必要はあるが、それ以外の部分では、モデル契約書の規定を利用することができる。
  • モデル契約書を利用して、ユーザ・ベンダ間の契約関係が明確になれば、本件で問題となった瑕疵その他の不具合が生じることを未然に防ぐことも期待できるとともに、ベンダの債務も明らかとなり、ベンダに債務不履行があれば、ユーザからも責任を追及できることになる。