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民法(債権法)改正

Last-modified: 2012-11-22 (木) 13:18:01 (2376d)
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主な改正のポイント

現在、法務省法制審議会民法(債権法)部会にて審議中です。2013年2月に中間試案を出し、その後、改正要綱案の策定が予定されています。

今回の債権法改正の骨子を民法部会の委員でもある大村敦志(東大教授)は「民法改正を考える」(岩波新書)で次のように述べています。

債権法改正作業における学者グループの提案(特に検討委員会案)に見られる大きな特徴は、「債権」という発想から「契約」という発想への転換である。

「債権」の発想とは、「債権」を出発に置き、その履行・不履行について考えていくというものである。そこでは、何が原因でどのような債権が発生したかは考慮に入れられず、いったん成立した債務の履行が「不能」になったか、履行障害につき「予見可能性」があったかといった議論が抽出的に行われることになる。

これに対して、「契約」の発想によれば、債務の内容を定めるのは契約であって、どのような場合に履行しないことが認められるかは、契約でどのように決めたかによることになる。(略)

そこで「契約」の発想を明確にしようというわけである。

「民法改正を考える」大村敦志著、岩波新書(1334) p160より引用

実際の見直しの範囲としては、法務省法制審議会資料によると、「民法第3編「債権」の規定のほか、同法第1編「総則」のうち第5章(法律行為)、第6章(期間の計算)及び第7章(時効)の規定が検討対象であり、このうち事務管理、不当利得及び不法行為の規定は、契約関係の規定の見直しに伴って必要となる範囲に限定して見直すこととされています。」となっています。


  • 雇用、請負、委任、寄託などの役務提供契約の一般原則を総則化し、雇用・請負・委任・寄託を包摂する上位のカテゴリーとして「役務提供契約」を位置づけ、それに関する総則規定を設ける
役務提供契約(総則)
雇用請負委任寄託狭義の役務提供契約
  • ファイナンス・リース契約の明文化
  • 債務不履行による損害賠償請求の要件の改正
  • 約款規制の導入

ファイナンス・リース契約の明文化

供給者またはリース提供者から、利用者への目的物の引渡しがなされた場合の、利用者の検査確認義務・その通知義務(通知の時からリース契約開始) 後に目的物の瑕疵が明らかになった場合は、リース期間の開始という効力は妨げられず、利用者は、リース料の支払債務を負担。リース提供者は瑕疵について直接の責任を負担せず、利用者の救済は、リース提供者が供給者に対して有する権利を利用者に移転させることによって実現。 リース提供者は、目的物についての修繕等、目的物を維持管理する義務を負担しない・・・等

債務不履行による損害賠償請求の要件の改正

債務者の「責めに帰すべき事由」という要件の撤廃、債務者の免責事由を規定

約款規制の導入

約款の定義

  • 案【3.1.1.25】(約款の定義)

    1> 約款とは、多数の契約に用いるためにあらかじめ定型化された契約条項の総体をいう。

    2> 約款を構成する契約条項のうち、個別の交渉を経て採用された条項には、本目および第2款第2目の規定(※約款制限規定)は適用しない。

約款の組入れ要件

  • 案【3.1.1.26】(約款の組入れ要件)

    1> 約款は、約款使用者が契約締結時までに相手方にその約款を提示して(以下、開示という。)、両当事者がその約款を当該契約に用いることに合意したときは、当該契約の内容となる。ただし、契約の性質上、契約締結時に約款を開示することが著しく困難な場合において、約款使用者が、相手方に対し契約締結時に約款を用いる旨の表示をし、かつ、契約締結時までに、約款を相手方が知りうる状態に置いたときは、約款は契約締結時に開示されたものとみなす。

    2> <1>の規定にもかかわらず、約款使用者の相手方は、その内容を契約締結時に知っていた条項につき、約款が開示されなかったことを理由として、当該条項がその契約の内容とならないことを主張できない。 約款の不当条項規制

    • 案【3.1.1.32】(不当条項の効力に関する一般規定)

      1> 約款または消費者契約の条項[(個別の交渉を経て採用された消費者契約の条項を除く。)]であって、当該条項が存在しない場合と比較して、条項使用者の相手方の利益を信義則に反する程度に害するものは無効である。

      2> 当該条項が相手方の利益を信義則に反する程度に害しているかどうかの判断にあたっては、契約の性質及び契約の趣旨、当事者の属性、同種の契約に関する取引慣行および任意規定が存する場合にはその内容等を考慮するものとする。

  • 案【3.1.1.33】(不当条項とみなされる条項の例)
    約款または消費者契約の条項[(個別の交渉を経て採用された消費者契約の条項を除く。)]であって、次に定める条項は、当該条項が存在しない場合と比較して条項使用者の相手方の利益を信義側に反する程度に害するものとみなす。
    (例)

    ア>条項使用者が任意に債務を履行しないことを許容する条項

    イ>条項使用者の債務不履行責任を制限し、または、損害賠償額の上限を定めることにより、相手方が契約を締結した目的を達成不可能にする条項

    ウ>条項使用者の債務不履行に基づく損害賠償責任を全部免除する条項

    エ>条項使用者の故意または重大な義務違反による債務不履行に基づく損害賠償責任を一部免除する条項

    オ>条項使用者の債務の履行に際してなされた条項使用者の不法行為に基づき条項使用者が相手方に負う損害賠償責任を全部免除する条項

    カ>条項使用者の債務の履行に際してなされた条項使用者の故意または重大な過失による不法行為に基づき条項使用者が相手方に負う損害賠償責任を一部免除する条項

    キ>条項使用者の債務の履行に際して生じた人身損害について、契約の性質上、条項使用者が引き受けるのが相当な損害の賠償責任を全部または一部免除する条項 ただし、法令により損害賠償責任が制限されているときは、それをさらに制限する部分についてのみ、条項使用者の相手方の利益を信義則に反する程度に害するものとみなす。

  • 案【3.1.1.34】(不当条項と推定される条項の例)
    約款または消費者契約の条項[(個別の交渉を経て採用された消費者契約の条項を除く。)]であって、次に定める条項は、当該条項が存在しない場合と比較して条項使用者の相手方の利益を信義側に反する程度に害するものと推定する。
    (例)

    ア>条項使用者が債務の履行のために使用する第三者の行為について条項使用者の責任を制限する条項

    イ>条項使用者に契約内容を一方的に変更する権限を与える条項

    ウ>期間の定めのない継続的な契約において、解約申し入れにより直ちに契約を終了させる権限を条項使用者に与える条項

    エ>継続的な契約において相手方の解除権を任意規定の適用による場合に比して制限する条項

    オ>条項使用者に契約の重大な不履行があっても相手方は契約を解除できないとする条項

    カ>法律上の管轄と異なる裁判所を専属管轄とする条項など、相手方の裁判を受ける権利を任意規定の適用による場合に比して制限する条項

  • 案【3.1.1.37】(条項の一部が無効な場合の条項の効力)
    約款または消費者契約に含まれる特定の条項の一部が無効となるときは、法令にこれと異なる定めがない限り、当該条項は全体として無効となる。
  • 案【3.1.1.38】(条項の無効と契約の効力)
    条項の無効の効果および、必要な場合の条項の補充については、法律行為の無効に関する規定を適用する。
  • 案【3.1.1.39】(不当条項の使用により相手方に生じた損害の賠償)
    【3.1.1.32】ないし【3.1.1.36】に該当する無効な条項を使用した者は、その条項が存在しなければ相手方が被らなかった損害を賠償する責任を負う。
  • 約款による損害賠償制限に関する参考裁判例(責任限定規定を狭く解釈し、事業者の責任を認めたもの)
    東京地方裁判所平成13年9月28日判例 参照:最高裁ウェブサイト