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プロバイダ責任制限法に関するもの(最高裁平22年4月8日)

Last-modified: 2010-12-13 (月) 16:37:48 (3086d)
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事案:

  • インターネット上の電子掲示板に携帯電話を利用して匿名でなされた書き込みによって、名誉・信用を棄損されたXらが、その書き込みをした発信者Aに対する損害賠償請求権の行使のために、Aにインターネット接続サービスを提供した経由プロバイダであるY(NTTドコモ)に対し、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(プロバイダ責任制限法)4条1項に基づき、Aの氏名、住所等の情報の開示を請求。
  • Yは、経由プロバイダは電子掲示板の閲覧者が受信する電気通信の送信自体には関与しておらず、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の始点に位置して送信を行う者を意味する「特定電気通信役務提供者」には該当せず、Yが発信者情報の開示義務を負う余地はないと主張。
  • 一審(東京地判平成20年9月19日)は、経由プロバイダは「特定電気通信役務提供者」に該当しないと判断してXの請求を棄却したが、原審(東京高判平成21年3月12日)は、Yが「特定電気通信役務提供者」に該当するとして、Xの請求を認めた。
  • プロバイダ責任制限法2条
    インターネット上の電子掲示板等の「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信」を「特定電気通信」と定義し、特定電気通信の用に供される電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者を「特定電気通信役務提供者」と定義
  • プロバイダ責任制限法3条
    特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の制限を規定
  • プロバイダ責任制限法4条
    権利を侵害されたとする者の、特定電気通信役務提供者に対する発信者情報の開示請求権について規定

判決

  • 「最終的に不特定の者によって受信されることを目的とする情報の流通過程の一部を構成する電気通信を電気通信設備を用いて媒介する者は、同条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に含まれると解するのが自然である・・・法4条の趣旨は、特定電気通信(法2条1号)による情報の流通には、これにより他人の権利の侵害が容易に行われ、その高度の伝ぱ性ゆえに被害が際限なく拡大し、匿名で情報の発信がされた場合には加害者の特定すらできず被害回復も困難になるという、他の情報流通手段とは異なる特徴があることを踏まえ、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害を受けた者が、情報の発信者のプライバシー、表現の自由、通信の秘密に配慮した厳格な要件の下で、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対して発信者情報の開示を請求することができるものとすることにより、加害者の特定を可能にして被害者の権利の救済を図ることにあると解される。
  • 本件のようなインターネットを通じた情報の発信は、経由プロバイダを利用して行われるのが通常であること、経由プロバイダは、課金の都合上、発信者の住所、氏名等を把握していることが多いこと、反面、経由プロバイダ以外はこれを把握していないことが少なくないことは、いずれも公知であるところ、このような事情にかんがみると、電子掲示板への書き込みのように、最終的に不特定の者に受信されることを目的として特定電気通信設備の記録媒体に情報を記録するためにする発信者とコンテンツプロバイダとの間の通信を媒介する経由プロバイダが法2条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に該当せず、したがって法4条1項にいう「開示関係役務提供者」に該当しないとすると、法4条の趣旨が没却されることになるというべきである。 ・・・最終的に不特定の者に受信されることを目的として特定電気通信設備の記録媒体に情報を記録するためにする発信者とコンテンツプロバイダとの間の通信を媒介する経由プロバイダは、法2条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に該当すると解するのが相当である。」
  • ⇒経由プロバイダが、「特定電気通信役務提供者」に該当し、発信者の氏名、住所等の情報開示義務を負う場合があることについては、既に複数の下級審判決が出されているが、最高裁判所もこれを是認するに至った。