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まねきTV事件最高裁判決(平成23年1月18日最高裁第三小法廷判決)

Last-modified: 2012-09-24 (月) 17:00:58 (2485d)
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事案

  • テレビ局らが、放送番組を利用者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する機器を使ったサービス「まねきTV」(※)を提供するA社に対し、放送についての送信可能化権(99条の2)、及び放送番組についての公衆送信権(23条1項)を侵害するとして、それらの行為の差止め並びに損害賠償の支払いを求めた。
  • (※まねきTVのサービスは、1対1の通信を行う「ロケーションフリー」機器を使い、テレビチューナが内蔵されたベースステーションから、テレビ番組をデジタルデータ化し、それをインターネットを介して、予め設定された端末機器に送信するもの(利用者は、端末機器をインターネットに接続することで、どこでもテレビ番組が視聴できることになる。)。利用者が各自ロケーションフリーを購入し、ベースステーションをA社に配送すると、当該ベースステーションがA社内において設置・設定され、利用者の手元にある端末機器に、希望するテレビ番組が送信されることになる。)
  • 一審、二審は、送信可能化は、「自動公衆送信装置」の使用を前提としており、その装置は、公衆(不特定または多数の者)が受信できるような送信機能を持つ装置でなければならないとした上で、まねきTVのサービスで使用されるような、あらかじめ設定された単一の機器宛てに送信するという1対1の送受信だけが可能である機器(ベースステーション)は、自動公衆送信装置にあたらず、従ってまねきTVのサービスは送信可能化にあたらないとして、テレビ局側の訴えを棄却したため、テレビ局側が上告した。

判決(原判決破棄差戻し)

  • 「著作権法が送信可能化を規制の対象となる行為として規定した趣旨・目的は、・・・現に自動公衆送信が行われるに至る前の準備段階の行為を規制することにある。・・・あらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても、当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは、自動公衆送信装置に当たるというべきである。・・・そして,自動公衆送信が,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置の使用を前提としていることに鑑みると,その主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当であり,当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体であると解するのが相当である。」
  • 「これを本件についてみるに,・・・被上告人(A社)は,ベースステーションを分配機を介するなどして自ら管理するテレビアンテナに接続し,当該テレビアンテナで受信された本件放送がベースステーションに継続的に入力されるように設定した上,ベースステーションをその事務所に設置し,これを管理しているというのであるから,利用者がベースステーションを所有しているとしても,ベースステーションに本件放送の入力をしている者は被上告人であり,ベースステーションを用いて行われる送信の主体は被上告人であるとみるのが相当である。そして,何人も、被上告人との関係等を問題にされることなく、被上告人と本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであって、送信の主体である被上告人から見て、本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たるから、ベースステーションを用いて行われる送信は自動公衆送信であり,したがって,ベースステーションは自動公衆送信装置にあたる。そうすると,インターネットに接続している自動公衆送信装置であるベースステーションに本件放送を入力する行為は,本件放送の送信可能化に当たる。」また、本件サービスにおける、テレビアンテナからベースステーションまでの送信の主体はA社であり、送信行為は公衆送信にあたる。

著作権法 該当条項

  • (定義)
    第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
    九の五 送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。
    イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号及び第四十七条の五第一項第一号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。~ ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。
  • (送信可能化権)
    第99条の2 放送事業者は、その放送又はこれを受信して行う有線放送を受信して、その放送を送信可能化する権利を専有する。
  • (公衆送信権等)
    第23条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

関連判決

ロクラクⅡ最高裁判決(平成23年1月20日最高裁第三小法廷判決)

  • 平成23年1月20日には、いわゆるロクラクⅡ事件についても、著作権侵害はないとした知財高裁の判決に対し、破棄差戻しとする最高裁判決が出された(まねきTV事件とは異なる小法廷によるもの)。
  • ロクラクⅡ事件は、テレビ番組を録画してインターネットで送信する機能を有するハードディスクレコーダーを、まねきTV同様、サービス提供業者が利用者から有償で預かるサービスであるが、利用者の要求に応じてテレビ番組の録画(複製行為)がなされる点がまねきTV事件とは異なり、複製権侵害の主体が争点となった。
  • 最高裁は、ロクラクⅡ事件でも、「複製の主体の判断に当たっては,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮して,誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断するのが相当であるところ,・・・サービス提供者は,単に複製を容易にするための環境等を整備しているにとどまらず,その管理,支配下において,放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力するという,複製機器を用いた放送番組等の複製の実現における枢要な行為をしており,複製時におけるサービス提供者の上記各行為がなければ,当該サービスの利用者が録画の指示をしても,放送番組等の複製をすることはおよそ不可能なのであり,サービス提供者を複製の主体というに十分である・・・」として、サービス提供業者が複製の主体であるとした。(なお、本判決といわゆるカラオケ法理との整合性について述べた金築裁判官の補足意見がある。)